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松江地方裁判所 昭和29年(行)4号 判決 1961年1月23日

松江市北田町一〇四番地

原告

大野賢一

右訴訟代理人弁護士

篠田嘉一郎

松江市内中原町

被告

松江税務署長

石原幸市郎

右指定代理人

森川憲明

原芳太郎

米沢久雄

田原広

右当事者間の昭和二十九年(行)第四号所得税更正決定取消請求事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告が昭和二七年三月三一日附通知書により、原告の昭和二六年分の事業所得に対してなした更正処分のうち所得金額八九七、一七六円を超える部分はこれを取消す。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを五分し、その四を原告の負担とし、その一を被告の負担とする。

事実

(請求の趣旨)

被告が昭和二七年三月三一日附通知書により、原告の昭和二六年分の事業所得に対してなした更正処分のうち、所得金額二一六、七九九円を超える部分はこれを取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

(請求の原因)

第一、原告は昭和二六年当時不動産の周旋業を経営していたので、昭和二七年二月二九日、被告に対し、原告の昭和二六年分事業所得につき、総収入金二三〇、二一〇円、必要経費金二三六、七八〇円、差引損失金六、五七〇円として確定申告をしたところ、被告は昭和二七年三月三一日附通知書をもつて、原告の昭和二六年分所得金額を二、〇〇〇、〇〇〇円とする旨の更生処分をなした。原告は右更生処分に対し法定期間内に被告に再調査の請求をしたが、同年七月一九日右再調査請求は棄却された。そこで、原告は同年八月一一日広島国税局長に対し審査の請求をしたが、同局長は昭和三〇年六月一四日再調査請求に対する決定及び原処分を取消して、原告の右年分の所得金額を九一三、六〇〇円とする旨の決定をなし、原告は右通知を受領した。

第二、しかしながら、その後の調査によつても、原告の右年分の総収入は金六一三、六五七円、必要経費は金三九六、八五八円従つて所得金額は金二一六、七九九円であるに過ぎないから、右金額を超える被告の更正処分は違法である。

(被告の主張に対する答弁)

一、仲介収入及び売買益(別紙収支計算書のとおり)

(一)  不動産の仲介による収入金二一七、〇七五円

被告仲介収入に関する主張の中1ないし4及び7の各事実を認める。

同5の事実については必要経費(代書料)六七五円を要したから、これを被告主張の収入より控除し、差引収入金七、五七五円となる他被告主張事実を認める。

同6の事実については、必要経費の金額は八、〇〇〇円であり、従つて差引収入金が四七、〇〇〇円となる他被告主張の事実を認める。

同8の事実については、買主からの受取手数料が金一五、〇〇〇円であること、従つて差引収入金が二五、〇〇〇円となる他被告主張の事実を認める。

(二)  不動産の売買益金三九六、五八二円

被告の売買益に関する主張の中1及び5の各事実を認める。

同2の事実中、買入価格が契約書は金一二二、〇〇〇円であることは認めるが追払金として金六、〇〇〇円を支払つたので買入価格は合計金一二八、〇〇〇円であること、従つて売買益が金一五、八一〇円となる他被告主張の事実を認める。

同3、4の事実中、被告が原告保有と主張する四四坪三合を厚告において大野美枝子に対し坪五〇〇円の割合で金二二、〇〇〇円で売渡したこと、従つて右両取引における売買益が金一二、五七二円となる他被告主張の事実を認める。

同6の事実中岡光に対する謝礼金五、〇〇〇円を必要経費に計上すべく、従つて売買益金が金二〇、〇〇〇円となる他被告主張の事実を認める。

同7の事実中岡光に対する支払手数料金五、〇〇〇円は買入価格に包含されることなく、買入価格金七〇、〇〇〇円の他に必要経費として計上すべきこと、従つて売買益が金一〇、〇〇〇円となる他、被告主張の事実を認める。

同8の事実はすべて否認する。原告はこの取引の当事者ではなく、又右取引によつて何らの利益も得ていない。

同9の事実中、畑の売渡価格が金二五〇、〇〇〇円であること、従つて右取引により原告が金二五〇、〇〇〇円の利益を得ていることを除き、右取引が原告の取引であることを前提とする被告の主張事実は否認する。原告は野津顕の財産整理の方法として同人所有の宅地、家屋を原告の妻大野美枝子を経て島根大学建設募金委員会に売渡す仲介をなし、その報酬として右野津より、前記畑の贈与を受け、これを右募金委員会に代金二五〇、〇〇〇円で売渡したのに過ぎない。仮りに右不動産の取引がすべて原告の取引であるとしても原告は右不動産を入手するために、株式会社日本勧業銀行に金二七二、四六七円、浅野武一郎に金一〇〇、〇〇〇円を支払い、右野津に与えた代替家屋の代金として西代喜太郎に金三九六、〇〇〇円を支払い、更にこれに対して金一〇〇、一一二円相当の修理改良工事を施し、その他登記費用、交際費、立替金等合計金一〇一、四二一円を支出し、右不動産を合計金一、二五〇、〇〇〇円で前記島根大学建設募金委員会に売却したものである。

同10の事実中、必要経費が金三〇、八〇〇円(土地代追加払金二〇、四〇〇円、上敷代金四、一四〇円、菓子代金四〇〇円、生命保険料金五、四三〇円その他諸経費金四三〇円)であること、従つて売買益が金五三、二〇〇円となる他被告主張の事実を認める。

以上仲介収入、売買益合計六一三、六五七円

二、必要経費

(二)の電話料金一二、七〇一円、(二)の事務用品代金三、九三〇円については被告主張を認める。

(一)  公租公課金二四、九七七円

被告主張の事業税金九、六〇〇円、土地台帳閲覧料金六〇円を認める他、固定資産税金一四、九一七円、自転車税(二台分)金四〇〇円

(三)  図書費金二、〇〇一円

営業につき調査研究用並びに来客接待用として、時事世界八月分ないし一一月分金三〇〇円、人類愛善新聞一一月分金二一円、毎日新聞及び島根新聞各一年分金一、六八〇円

(四)  修繕費金七、三二九円

被告主張の事務所修理用釘代金二〇九円を認める他、自転車修理代(二台分)金五、七三〇円、腕時計修理代金四〇〇円、ラジオ修理代金九九〇円

(五)  宣伝費金二七、九九〇円

菓子代、煙草代に関する被告主張事実を認める他、酒代三、四〇五円その他取寄料理代、会食費用等金一八、〇八五円

(六)  接待費金三二、八八〇円

酒代金一七、七五一円その他料理注文代、会食費用等金一五、一二九円

(七)  保険料金二、五六八円(国民健康保険料)

(八)  光熱、水道料金一〇、八三七円

被害主張の電灯料金一、七八六円を認める他、木炭代金四、八〇〇円、ガス代金三、六二一円(一年使用料の半額)、水道料金六三〇円(一年使用料一、八二四円の内営業用に供した部分)

(九)  代書料金二、三七二円

(一〇)  運搬費金五、九七〇円

曳野佐市に支払分(整地用人夫費)金五、六二〇円、日本通運松江支店に支払分金三五〇円

(一一)  支払利息金二二六、一三八円

被告主張中株式会社協和銀行松江支店支払分を認める他、周藤ハツ支払分金八、四〇〇円、川瀬太三郎支払分金一三、二〇〇円、三宅条太郎支払分金一二、〇〇〇円、松江無尽支払分金九、二三二円、大東五人組支払分金一八〇、〇〇〇円

(一二)  給料金三〇、〇〇〇円

使用人仲田豊喜に対する月二、五〇〇円一年分

(一三)  雑費金七、一六五円

被告主張の草花代金一五〇円、印鑑証明手数料金八〇円、寄留届抄本代金七〇円、自転車証票代金五〇円を認める他、更に印鑑証明手数料金八〇円、事務所椅子カバー等金九二〇円、便所清掃料金三二〇円、ストーブ煙突掃除代金一九五円、事務所大掃除代金七〇〇円、営業用取片附、営業用整地費用、不動産整地費用等金三、一二〇円、事務所修理用ペンキ代金一、〇〇〇円、公正証書作成費用金四八〇円

以上必要経費合計金三九六、八五八円

(請求の趣旨に対する答弁)

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

(請求の原因に対する答弁)

請求の原因第一の事実は認め、第二の事実は争う。

(被告の主張)

被告のその後の調査によれば原告の係争年分の事業所得は次のとおり金一、〇七六、八二七円であつて広島国税局長の審査決定における所得金額を上廻るから、原告の請求は失当である。すなわち

一、仲介収入及び売買益(別紙収支計算書のとおり)

(一)  不動産の仲介による収入金二三七、七五〇円

1 売主勝田徳次郎、買主加藤猶治郎間の仲介(松江市灘町四七番宅地一五坪七合四勺、同地上建物家屋番号同所第八〇番木造瓦葺二階建納屋一棟建坪一二坪二階一二坪)受取手数料売主より金一五、五〇〇〇円、買主より金一〇、〇〇〇円、合計収入二五、〇〇〇円

2 売主中島善夫、買主日本通運株式会社間の仲介

受取手数料売主より金五、〇〇〇円、買主より金二五、〇〇〇円、合計収入金三〇、〇〇〇円

3 売主今村宇市、買主江角稔間の仲介

受取手数料売主、買主より合計収入金四〇、〇〇〇円

4 売主後藤正靖、買主島根県保険課間の仲介

受取手数料売主より金一二、五〇〇円

5 売主後藤正靖、買主国家地方警察島根県本部間の仲介

受取手数料売主より金八、二五〇円

6 売主雨森清修、買主千代田生命間の仲介

受取手数料売主より金二五、〇〇〇円、買主より金三〇、〇〇〇円、必要経費三、〇〇〇円、差引収入金五二、〇〇〇円

7 売主熊谷静雄、買主松江盲学校間の仲介

受取手数料売主より金三〇、〇〇〇円

8 売主福代栄、買主別所忠雄間の仲介

受取手数料売主より金一〇、〇〇〇円、買主より金三〇、〇〇〇円、合計金四〇、〇〇〇円

(二)  不動産の売買益金九〇三、八七三円

1 買入先桑谷銀次郎、転売先安食源吉間の取引

買入価格金一八〇、〇〇〇円、転売価格金二二〇、〇〇〇円、必要経費二〇、〇〇〇円、売買益金二〇、〇〇〇円

2 買入先川瀬貞雄、転売先島根県学生服工業協同組合間の取引

3・4 買入価格金一二二、〇〇〇円、転売価格金一九〇、〇〇〇円、必要経費四六、一九〇円、売買益金二一、八一〇円買入先諏訪部重光及び西ヨシノ、転売先島根県協同募金委員会及び大野美枝子間の取引(諏訪部分松江市北田町一〇五番一田六畝四歩、右隣接西分同町一〇五番三宅地四一坪二合)

諏訪部より買入価格金一八四、〇〇〇円、西より買入価格金四一、〇〇〇円

右を一括してそのうち一八〇坪九合を代金二三四、九三六円にて島根県共同募金委員会に売却、残り四四坪三合は原告保有、その評価格金五七、一一一円、必要経費一九、三六四円、売買益金四七、六八三円

5 買入先安達知恵子、転買先青山富士夫間の取引

買入価格金二三五、〇〇〇円、転買価格金二六〇、〇〇〇円、必要経費一〇、〇〇〇円、売買益金一五、〇〇〇円

6 買入先岡光、転買先加藤猶治郎間の取引

買入価格金四五、〇〇〇円、転買価格金七〇、〇〇〇円、売買益金二五、〇〇〇円

7 買入先岡野武志、転売先株式会社松江相互銀行間の取引(松江市石橋町八八番二宅地一四坪五合、家屋同所第九七番、木造瓦葺平家建居宅一棟建坪一二坪)

買入価格金七〇、〇〇〇円(内金五、〇〇〇円は岡光に対する支払手数料を含む)、転売価格金八五、〇〇〇円、売買益金一五、〇〇〇円

8 買入先村田戒順、転売先西代喜太郎間の取引

買入価格金一三〇、〇〇〇円、転買価格金一七〇、〇〇〇円、必要諸経費二〇、〇〇〇円、売買益金二〇、〇〇〇円

9 買入先野津顕、転買先島根大学建設募金委員会間の取引

買入価格金四七九、九六八円(株式会社日本勧業銀行松江支店へ代払金二七二、四六七円、浅野武一郎へ代払金一〇〇、〇〇〇円、野津に対価の一部として与えた西代所有不動産に対し原告が支出した金額一〇七、五〇一円)、転売価格金一、二五〇、〇〇〇円(宅地、家屋金一、〇〇〇、〇〇〇円、畑金二五〇、〇〇〇円)、必要経費金一〇〇、一一二円、売買益金六六九、九二〇円

10 買入先千代田生命、転買先協和銀行間の取引

買入価格金三三五、〇〇〇円、転売価格金三九〇、〇〇〇円、受取手数料売主より金一〇、〇〇〇円、買主より金一九、〇〇〇円、必要経費一四、五四〇円(上敷代四、一四〇円、菓子代四〇〇円及び転売価格中に含まれる修繕費一〇、〇〇〇円)売買益金六九、四六〇円

以上仲介収入、売買益合計金一、一四一、六二三円

二、必要経費

(一)  公租公課金一四、〇〇七円

昭和二六年度事業税(第一期、第二期)金九、六〇〇円、同年度固定資産税金一二、四四〇円のうち1/3相当額金四、一四七円、同年度自転車税(二台分計金四〇〇円のうち一台分)金二〇〇円

(二)  電話料金一二、七〇一円

(三)  図書費 〇円

(四)  修繕費金三、〇七四円

自転車修理費用(二台分計五、七三〇円のうち一台分)金二、八六五円、事務所修繕釘代金二〇九円

(五)  宣伝費金六、五〇〇円

菓子代金三、八〇〇円、煙草代金二、七〇〇円

(六)  接待費金九、八二四円

酒代金四、七八一円(古川酒店よりの買入高一四、三四四円の約1/3相当額)その他金五、〇四三円(その他一五、一二九円の1/3相当額)

(七)  保険料 〇円

(八)  光熱、水道料金三、五八六円

電灯料金一、七八六円、木炭代金一、八〇〇円

(九)  代書料金三、〇四七円

原告主張金二、三七二円の他仲介5の代書料金六七五円を含む

(一〇)  運搬費 〇円

(一一)  事務用品代金三、九三〇円

(一二)  支払利息金七、七七七円

協和銀行松江支店に対する支払金三、三〇六円、扶桑相互銀行に対する支払金四、四七一円

(一三)  給料 〇円

(一四)  雑費金三五〇円

草花代金一五〇円、印鑑証明手数料のうち金八〇円、自転車証票代金五〇円、寄留届抄本代金七〇円

以上必要経費合計金六四、七九六円

三、差引事業所得金一、〇七六、八二七円

(立証)

原告

甲第一ないし第三号証、第四号証の一、二、第五、第六号証、第七号証の一ないし四、第八ないし第一一号証、第一二号証の一ないし三二、第一三号、第一四号証の一のイ、ロ、第一四号証の二、第一五号証の一ないし六、第一六号証の一、二、第一六号証の三のイ、ロ、第一六号証の四ないし一二、第一七号証の一ないし三、第一八号証の一ないし七、第一九号証の一ないし一四、第二〇号証の一ないし二八、第二一号証の一ないし一〇、第二二号証の一ないし三六、第二三号証の ないし三、第二四号証の一、二、第二五号証、第二六号証の一ないし一六、第二七号証の一ないし一二、第二八号証の一ないし二三、第二九号証の一ないし一六九、第三〇号証、第三一号証の一、二、第三二ないし第三七号証、第三八号証の一、二及び第三九号証提出

証人野津顕、同別所忠雄、同岡光、同戸谷庫一郎、同藤原恩一郎、同石原忠義、同古川忠一、同坂本芳蔵、同岡野フサノ、同大国敏郎、同仲田豊喜、同周藤ハツ、同佐々木二力、同松本至誠の各証言及び原告本人尋問の結果援用

乙第二一号証、第二五号証の一、二、第二九ないし第三一号証、第三四号証、第四五号証の二、及び第四六ないし第四八号証の成立は認める、乙第一一号証のうち契約書の部分は成立を認めるがその他の部分の成立は不知、乙第二三号証のうち原告の署名ある部分は成立を認めるが、その他の部分の成立は不知、その余の乙号各証の成立はいずれも不知。

被告

乙第一ないし第五号証、第六、第七号証の各一、二、第八ないし第一四号証、第一五号証の一ないし三、第一六ないし第二四号証、第二五号証の一、二、第二六ないし第四四号証、第四五号証の一、二、第四六ないし第四九号証提出

証人野津顕、同別所忠雄、同岡光、同村田寿子、同中山武夫、同三田春人、同秋鹿歓一、同西代藤子、同鳥越保喜、同福井久信の各証言援用

甲第四号証の一、第五号証、第七号証の一ないし四、第八、第九号証、第一三号証、第一四号証の一のイ、ロ、第一五号証の三及び五、第一六号証の一、二、第一六号証の三のイ、ロ、第一六号証の四ないし一二、第二一号証の一ないし一〇、第二二号証の一ないし三五、第二八号証の一九、二〇、第三一号証の一、二、第三六号証及び第三八号証の一、二の各成立は認める、その余の甲号各証の成立はいずれも不知

理由

第一、原告が昭和二六年当時不動産の周旋業を経営していたこと、昭和二七年二月二九日被告に対し原告はその昭和二六年分事事業所について総収入金二三〇、二一〇円、必要経費金二三六、七八〇円、差引損失金六、五七〇円との内容の確定申告をなしたこと、被告は昭和二七年三月三一日附通知書をもつて、原告の右年分の所得金額を金二、〇〇〇、〇〇〇円とする旨の更正処分をなしたこと、原告は右更正処分に対し被告に法定期間内に再調査の請求をなしたが同年七月一九日再調査請求が棄却されたこと、原告は同年八月一一日訴外広島国税局長に対し審査請求をなしたが、同局長は昭和三〇年六月一四日原告の右年分の所得金額を金九一三、六〇〇円とする旨の決定をなし、原告は右通知を受領したことはいずれも当事者間に争いがない。

第二、そこで右昭和二六年の原告の所得金額の算定の基礎となる仲介収入、売買益及び必要経費について以下順次判断する。

一、仲介収入及び売買益(別紙収支計算書のとおり)

(一)  不動産の仲介による収入

被告主張の1ないし4及び7の取引につき、その収入金額がそれぞれ金二五、〇〇〇円、金三〇、〇〇〇円、金四〇、〇〇〇円、金一二、五〇〇円及び金三〇、〇〇〇円であることはいずれも当事者間に争いがない。

被告主張5の事実については、原告主張との相違点は必要経費(代書料)金六七五円の存否につきるが、右金額は被告も後記必要経費(九)の代書料(被告主張金三、〇四七円、原告主張金二、三七二円)の科目において認容しているのでその存在には争いがなく、原告が事業の必要経費の中に特に代書料なる科目を設けていること、他の仲介収入において必要経費の科目の下に代書料を計上していないこと等を勘案すると、右代書料六七五円はこれを後記一般必要経費中に計上するのが相当であり、従つて仲代収入は金八、二五〇円であると認められる。

被告主張6の事実について

成立に争いのない乙第四八号証によれば、右取引の必要経費として計上されている金額は、右取引に際し、訴外今村宇市が昭和二六年秋二回にわたり、京都に赴いた旅費の実費に相当し、松江、京都間三等往復乗車賃二回分及び宿泊料一泊分、弁当代程度のものであつたことを窺うことができるにとどまり、同号証により成立を認める甲第一号証の記載内容は信用し難く、他に右金額を認めるに足る証拠はない。従つて当事者双方の主張の一致する金三、〇〇〇円の限度においてこれを認めることとし、その他の事実については争いがないから差引収入金は五二、〇〇〇円であると認められる。

被告主張8の事実について

争点たる買主よりの受取手数料の金額について検討するのに、証人別所忠雄の証言、同証言により成立を認める乙第二四号証、乙第三六号証を綜合すれば、訴外別所忠雄は昭和二六年六月頃、住宅を買入れるべく原告に仲介方依頼したところ、原告の仲介により、最初松江市雑賀町六丁目七一六番一、宅地四七坪二合五勺、家屋木造瓦葺二階建延坪二八坪三合、物置六坪(後記売買10の不動産と同一)を買入れたが、売主の明渡不履行によりその目的を達しえず、再び原告の仲介により、同市外中原町二八八番二、宅地九八坪及び地上建物を、その所有者訴外福代栄より買入れるに至り、右契約成立に際し、原告より雑賀町の宅地建物についての仲介料を更介料を更めて請求しない代りに石外中原町の分につき金三〇、〇〇〇円欲しい旨要求され、別所において内金一五、〇〇〇円を現金にて支払い、残りの金一五、〇〇〇円については、原告の同意をえてその支払に代えて同人所有の時価合計金一七、〇〇〇円に相当する骨とう品二点を原告に譲渡した事実を認めることができる。成立に争いのない甲第七号証の一も右認定を妨げるものではなく、その他右認定に反する証拠はない。しかしてその余の事実については争いがないから、右仲介による原告の収入は金四〇、〇〇〇円であると認められる。

以上、原告の仲介収入については順次検討したところ、被告主張のとおりその総額は金二三七、七五〇円であると認められる。

(二)  不動産の売買益

被告主張の1及び5の取引につき、売買益がそれぞれ金二〇、〇〇〇円、金一五、〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。

被告主張2の事実について

争点たる買入価格について検討するのに、雑賀町五丁目六三三番地宅地四三坪及び同地上家屋家屋番号同所第八四二番木造瓦葺平家建居宅一棟建坪一三坪五合の契約書上の売買代金が金一二二、〇〇〇円であつたことについては当事業間において争いがなく、その上原告においては追払金六、〇〇〇円を支払つた旨主張するがこれを認めるに足る証拠はない。従つて買入価格は金一二二、〇〇〇円であると認められるところ、その余の事実については当事者間に争いながら、原告の売買益は金二一、八一〇円であると認められる。

被告主張3、4の事実について

原告において諏訪部重光所有の松江市北田町一〇五番一の田六畝四歩(現況宅地一八四坪)を代金一八四、〇〇〇円で、またこれに隣接する西ヨシノ所有の同町一〇五番三宅地四一坪二台を代金四一、〇〇〇円で一括購入し、その内一八〇坪九合を島根県共同募金委員会に代金二三四、九三六円で売却したことは当事者間に争いがない。しかしながら残りの四四坪三合を原告においてその妻大野美枝子に売渡したかどうかの点についてはこれを認めるに足る証拠はないから、右宅地を坪五〇〇円で妻美枝子に売渡したとの原告の主張は失当である。又このような場合被告主張のように右一八〇坪九合の売買代金に比例して右残部の土地の価格を算定することも、本件のように右土地がその直前により低い坪当り約一、〇〇〇円の価格で取引されている場合には必ずしも充分な合理性を有するものとは解し難く従つて右土地の価格の算定に当つてはその低い坪一、〇〇〇円の買入価格によるを相当とすべく、そうだとすれば右四四坪三合については原告は依然金四四、三〇〇円の財産を保有しているものと認められる。しかして右取引に当つての必要経費が金一九、三六四円であることについては当事者間に争いがないから、右両取引における原告の売買益は金三四、八七二円であると認められる。

被告主張6の事実について

証人岡光の証言、同証言により成立を認める乙第一〇号証、乙第三三号証、乙第三九号証によれば、右取引は不動産周施業の訴外岡光が松江市伊勢宮町五四三番地所在宅地二〇坪を、その所有者訴外渡辺岩松から、代金四〇、〇〇〇円で買取り、これを代金四五、〇〇〇円で同業業たる原告に売渡したものであつて、岡は右代金中五、〇〇〇円を原告が右不動産を更に訴外加藤猶治郎に売渡した際、その代金中から受取つたものに過ぎず、従つて右代金以上に更に手数料として五、〇〇〇円を受取つたのではないものと認められる。成立に争いのない甲第四号証の一及び岡光の証言により成立を認める甲第四号証の二は、前記岡光が原告の依頼によつてその内容を確めず作成したものでこれを信用し難く、他に石認定を妨げる証拠はない。そして原告において右不動産を前記加藤に売渡した代金が七〇、〇〇〇円であることは当時者間に争いがないから、右取引における原告の売買益は金二五、〇〇〇円であると認められる。

被告主張7の事業について

原告が訴外岡野武志から松江市石橋町八八番地二宅地一四坪五合、家屋同所第九七番、木造瓦葺平家建居宅一棟建坪一二坪を代金七〇、〇〇〇円で買入れこれを訴外松江相互銀行に代金八五、〇〇〇円で売却したことは当事者間に争いがない。そして証人岡光の証言及び同証言によつて成立を認める乙第三九号証によれば、右不動産を原告において訴外松江相互銀行に売渡すに際し、右岡光が仲介をなしその手数料として原告において右岡に対し金五、〇〇〇円を交付した事実を認めることができる。然しながら証人岡野フサノの証言及び同証言により成立を認める乙第一一号証によれば、訴外岡野と原告間の本件土地、建物の売買代金は元来六五、〇〇〇円であつたが、右岡光に支払つた、手数料五、〇〇〇円を含めて契約書上は売買代金を七〇、〇〇〇円とし、原告より訴外岡野に対しては金六五、〇〇〇円を支払つたことが認められるので右手数料は前記買入価格に計上されているから別個に必要経費として控除すべきものではない。従つて、右取引における原告の売買益は金一五、〇〇〇円であると認められる。

被告主張8の事実について

証人村田寿子、同西代藤子、同坂本芳蔵の各証言、村田証人の証言によつて成立を認める乙第一三号証、乙第一四号証、乙第一六号証、西代証人の証言によつて成立を認める乙第四三号及び坂本証人の証言によつて成立を認める乙第四〇号証の各証拠によれば、訴外村田戒順所有の松江市外中原町一三九番地所在の宅地、家屋が最初杉谷、次いで不動産周施業坂本芳蔵及び原告の仲介を経て前記西代喜太郎の所有に帰したこと、また右取引において右村田の売渡価格が金一三〇、〇〇〇円、西代の買受価格が金一七〇、〇〇〇円又は一八〇、〇〇〇円であつたことが窺われるのに止まり、右不動産の中間の買受人が原告であつたこと及び右不動産仲介に当つて、原告が金二〇、〇〇〇円の利益を得たことを認めるに足る証拠はない。従つて右取引において原告が金二〇、〇〇〇円の売買益を得たとの被告の主張は失当である。

被告主張9の事実について

原告は訴外野津顕所有の松江市南田町一三一番地一三五坪六七及び同所家屋番号第三九九番二木造瓦葺二階建一棟建坪八二坪八合二勺は妻大野美枝子が購入したもので原告の所得とは無関係であると主張するが、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める乙第二六ないし第二八号証、成立に争いのない乙第二九ないし第三一号証及び証人野津顕の証言を綜合すれば、原告は昭和二六年分所得税確定申告において妻美枝子を扶養親旅として申告し扶養控除を受けていること、原告は不動産の取引に当つて本件以外にも実質的には原告の取引でありながら、長男和彦の名義をもつて取引したこともあり、又妻美枝子名義の扶桑相互銀行松江支店の銀行預金は、原告自身の営業上の資金を妻の名義を借りで預け入れたものにすぎないこと、更に同年度の所得税再調査請求に際しては原告自ら本件取引が原告自身の取引であることを自認していることが認められるので、本件取引は妻の名義を借りてはいるが、その実質は原告自身の取引であると認定するのが相当である。右認定に反する原告本人尋間の結果は前記証拠に照らし信用し難く他に右認定に反する証施はない。

そして原告が前記野津所有の右宅地、建物及び同市南田町一三一番地一畑六畝二三歩を買受けるために同人の債務の代払金として訴外日本勧業銀行に金二七二、四六七円、訴外浅野武一郎に金一〇〇、〇〇〇円を支払つたことは当事者間に争いがなく、証人野津顕の証言及び同証言により真正に成立したものと認める乙第一八ないし第二〇号証、乙第四五号証の一、証人秋鹿歓一の証言及び同証言により真正に成立したものと認める乙第四四、第四五号証の二、及び原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認める甲第一〇、第三五号証を綜合すれば、厚告は前記野津に代替家屋として提供するため訴外西代喜太郎より同人所有の同市南田町二二番二、宅地一八坪五勺、同地上家屋番号同所第六三番二、木造瓦葺二階建居宅一棟建坪二四坪七合五勺を代金合計金三七六、〇〇〇円で買受けてこれを右野津に提供したこと、然しながら同人は訴外秋鹿歓一に対しても負債があつたので、その債務の支払に代えて右宅地建物を右秋鹿に譲渡することになつたが、原告が右不動産の権利証等を所持していて、前記野津との間の未決済残金として金一二二、四九九円の支払を要求したので、右秋鹿において右金員を原告に交付して右不動産を取得したことが認められる。従つて原告は右野津所有の前記不動産を買受けるため、前記日本勧業銀行、浅野武一郎、西代喜太郎に合計金七四八、四六七円を支払い、秋鹿より金一二二、四九九円を受領し、結局差引金六二五、九六八円を支出したものといわなければならない。証人西代藤子、同野津顕の証言により真正に成立したものと認める乙第四三号、乙第一七号証によれば、右西代の家屋の代価が金二三〇、〇〇〇円であるかの如き供述記載があるが右はいずれも伝聞ないし推測にすぎず前記認定を覆えすに足りないし、また原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一一、第三三、第三四号証によれば原告は前記西代に前記家屋代金以外に金二、二二〇円を、訴外池田稔子に金五、〇〇〇円を支払つていることが認められるが右金員が右西代の家屋の代価の追加支払であることの立証がないので、これを右家屋代金に計上するのは相当でないと考える。

原告が本件不動産を訴外島根大学建設募金委員会に代金一、二五〇、〇〇〇円で売却したこと、右転売のため原告において右不動産に修理改良工事を施しその費用として合計金一〇〇、一一二円を支出したことはいずれも当事者間に争いがない。原告は右必要経費以外にも登記費用、接待費その他を支出したと主張するが、その金額並びに使途について立証がないので採用することができない。

以上の事実によれば原告の本件取引による利益は結局差引金五二三、九二〇円となること計数上明らかである。

被告主張10の事実について

争点たる必要経費について検討するのに、上敷代金四、一四〇円、接待用菓子代四〇〇円をこれに計上すべきことについては当事者間に争いがない。なお、証人中山武夫の証言及び同証言により成立を認める乙第二二、第二三号証によれば協和銀行の買受代金三九〇、〇〇〇円のうち、金一〇、〇〇〇円は同銀行において負担すべき修理費であつて、売買益とは関係のないものであることが認められる。原告は、右取引において、土地代追加払として金二〇、四〇〇円を千代田生命に支払つた旨主張するが、中山証人の証言によれば、右宅地中一七坪の部分はもと千代田生命の支店長の前任者である訴外湯某の個人所有の宅地の一部分であつて、その部分についての登記が右取引当時困難であつた為一時仲介人たる原告において立替支払つたものに過ぎず、右金員は、後日協和銀行より原告に支払われていることが認められ、原告の主張する生命保険料と共に、右取引の必要経費に計上すべきものとは認められない。その他原告において主張する諸経費四三〇円はその内容が明らかでないからこれを計上すべき限りではない。

その余の点については当事者間に争いがないから、右取引における原告の売買益金六九、四六〇円であることが認められる。

以上売買益について順次検討したところ、合計金七二五、〇六二円であることが認められる。

二、必要経費

(一)  公租公課

昭和二六年度事業税(第一期、第二期分)九、六〇〇円、同年度自転車税(二台分計四〇〇円のうち一台分)二〇〇円、土地台帳閲覧料六〇円を計上すべきことについては当事者間に争いがない。なお成立に争いのない乙第四六号証によれば同年度の固定資産税は一二、四四〇円であるから、原告本人尋問の結果により認められる原告方家屋総建坪一六〇坪の内約一割に当る部分が営業用の店舗として専用されている事実と考え合わせると右固定資産税の約1/3を営業上の必要経費に計上するのが相当である。原告本人尋問の結果により成立を認める甲第一五号証の六、甲第二九号証の一五六はいずれも右乙第四六号証に比し信用し難く外に右認定を左右するに足る証拠はない。又、弁論の全趣旨によれば原告所有の自転車中他の一台分は主として個人用に使用されたものと認めるのが相当である。従つて必要経費に計上すべき公租公課は一四、〇〇七円であると認められる。

(二)  必要経費に計上すべき電話料が、一二、七〇一円であることは当事者間に争いがない、

(三)  図書費

原告本人尋問の結果によれば原告方における毎日新聞及び島根新聞の各一年分の購読料が一、六八〇円であることが認められるところ、その1/2である八四〇円を必要経費に計上するのが相当であると認められる。原告本人尋問の結果により成立を認める甲第一七号証の一及び同号証の二によれば原告方においては右の他に時事世界(八月ないし一一月分)及び人類愛善新聞一一月分を購読したことが認められるが、右新聞等の内容と原告の営業との関係が明確でなく、それが継続的に購読されていないことに鑑みその購読料は営業上の必要経費に計上しないのが相当であると認むべく、従つて必要経費に計上すべき図書費は右の八四〇円のみであると認められる。

(四)  修善費

自転車修理費用(二台分五、七三〇円のうち一台分)二、八六五円、事務所修理用釘代二〇九円を計上すべきことについては当事者間に争いがない。自転車修理費用のうち残りの一台分については前にのべたとおりこれを必要経費に計上しないのが相当であり、原告主張の腕時計修理代四〇〇円、ラジオ修理代九九〇円は家計の中に計上するのが相当と認められるから営業の必要経費に計上すべき修繕費は合計三、〇七四円であると認められる。

(五)、(六) 宣伝費、接待交際費

菓子代三、八〇〇円、煙草代二、七〇〇円を計上すべきことについては当時者間において争いがない。

証人古川忠一の証言及び成立に争いのない乙第四七号証、同証言及び原告本人尋問の結果によつて成立を認める甲第一九号証の一三、甲第二〇号証の四、六、七、九、一〇、一一、一三、二二、二四及び二七の各証によれば原告が当該年度において古川酒店に支払つた酒代等の金額は一五、一〇〇円に達することが認められる。しかしながら、右支出金額と営業との関連が明確でなくその中のいくばくが営業上の必要経費に計上しうべきかについては何ら立証はないから、結尾当事者間に争いのない四、七八一円の限度においてこれを認めることとする。その他の取寄料理代、会食費等についても右同様の理由から被告の認める五、〇四三円の限度においてこれを認めることとする。

従つてこの科目に計上すべき必要経費は一六、三二四円であると認められる。

(七)  保険料

原告主張の国民健康保険料は営業の必用経費と認めることはできず、他に保険料の科目に計上すべき必要経費について当事者双方に主張、立証がない。

(八)  光熱、水道料

電灯料一、七八六円を必要経費に計上すべきことについては当事者間において争いがない。原告主張の木炭代についてはその幾何が営業に関連するかについて何ら立証がないから被告の認める一、八〇〇円の限度においてこれを認めることにする。その他のガス代、水道料については弁論の全趣旨によつてその殆んどが家庭用に供されたものと認められるからこれを営業上の必要経費に計上するのは相当でない。

従つてこの科目に計上すべき必要経費は三、五八六円であると認められる。

(九)  代書料

当事者間に争いのない代書料金二、三七二円及び仲介5の取引においてその出捐について当事者間に争いのない六七五円を合算すると被告主張のとおり三、〇四七円となることが認められる。

(一〇)  運搬費

原告主張の運搬費はその使途について何らの立証がないのでこれを必要経済と認めることができない。

(一一)  必要経費に計上すべき事務用品費が三、九三〇円であることについては当事者間に争いがない。

(一二)  支払利息

株式会社協和銀行松江支店に対する支払利息三、三〇六円を必要経費に計上すべきことについては当事者間に争いがない。被告の主張する扶桑相互銀行に対する四、四七一円及び原告の主張するその他の金額についてはいずれもこれを認めるに足る証拠がないから、結局支払利息は被告の認める七、七七七円の限度においてこれを認めることとなる。

(一三)  給料

証人仲田豊喜の証言及び原告本人尋問の結果によれば仲田は原告方の家事使用人であると認められるから、同人に対する給料は営業上の必要経費となるものでなく、他に計上しうべき給料は認められない。

(一四)  雑費

草花代一五〇円、印鑑証明手数料等のうち二〇〇円の限度において営業上の必要経費となることについては当事者間に争いがない。その余の原告主張の雑費については営業との関連について立証がないからこれを認めることができない。

従つてこの科目に計上すべき必要経費は三五〇円であると認められる。

以上認定のとおり原告の営業上の必要経費は合計六五、六三六円であることが認められる。

第三、原告の所得金額

以上順次検討したところによれば昭和二六年分の原告の不動産仲介による収入は金二三七、七五〇円、不動産の売買益は金七二五、〇六二円、必要経費は金六五、六三六円であることがそれぞれ認められる。従つて原告の右年分の所得金額は金八九七、一七六円となることが計数上明らかである。

よつて被告の本件更正処分中右所得金額を超える部分は違法であるから、その限度においてこれを取消し原告その余の部分の請求は失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野田三夫 裁判官 藤島利行 裁判官 吉田宏)

収支計算書

一、不動産の仲介による所得

<省略>

二、不動産の売買による所得(右側―被告主張、左側―原告主張)

<省略>

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